新・夢千代日記-全集-
新・夢千代日記-全集- おそるべき選曲「かいがら節」が好きだ、吉永・秋吉・中村久...
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おそるべき選曲
「かいがら節」が好きだ、吉永・秋吉・中村久美(本作後に小林薫と結婚、のち離婚)が踊るシーンもシリーズ後半ほど良くなっている、のだが、やはり踊りである、才能の違いは一目瞭然、吉永がどんどん上手になっているにもかかわらず、秋吉の動きは最後まで踊りではなく体操しているようにしか見えない、残念とも言えるが、劇の最後に秋吉が迎える結末を考えればなぜか納得できてしまう、
緑魔子の情夫役、あんちゃんと呼ばれる青年を演じているのは、本作当時は地味に活動していたフォーク歌手のあがた森魚(もりお)、たしかNHK紅白歌合戦に初めてジーパン(現在のことばでジーンズ)で出演したひと、
緑がステージで踊るときのBGM曲、”今宵限りのダンス・ホール、、、”と歌われる歌があがたの1974年作品「最后のダンスステップ(昭和柔侠伝の歌)」、大東亜戦争中の風紀引き締めですべてのダンス・ホールの営業が禁止となる前夜のありさまを歌った作品、舞台となる温泉町の場末かげんを見事に象徴した選曲だとおもう、
あがたの「ああ無常(レ・ミゼラブル)」という昭和の戦前・戦中・戦後をテーマにしたアルバムに収められている、評者にとっては武満によるメイン・テーマと同等に胸に染み入るアルバムである、緑魔子が醸し出すみじめな哀れさにもじつにふさわしいアルバムであり、夢千代日記のファンにはお奨めしたい、
シリーズでもっとも印象的。三拍子そろった秀作。
50年をこえるキャリアの吉永小百合の出演作で、最も好きなのが、映画では「華の乱」、テレビではこの「夢千代日記」です。脚本早坂暁と深町幸男演出のコンビ、キャスティングもよかった。3つのシリーズでは、最後のこの「新・夢千代日記」が最も好きです。相手役が松田優作。記憶喪失のボクサーと明治時代の詩人・前田純孝の二役。本筋のドラマに若くして肺病で死んだ詩人の淋しく、悲しい生涯の晩年が挿入されてます。全体を通して、山陰の温泉町の冬の時期を中心に描かれたおり、ドラマの内容と相乗的に哀しく、暗いイメージですが、だからこそ、余計哀感に溢れたドラマになっています。夢千代とボクサーの淡い恋心、秋吉久美子演じる子持ち芸者・金魚と頼りない小阪一也演じる社長との実らぬ、死への恋の道行き。他にも年増芸者の樹木希林、ストリッパー役の緑魔子など脇も素晴らしい。シリーズ3作すべてビデオで持っているのですが、さてどうしましょか。迷っています。
いろいろな人間模様、いろいろな愛の形
この新・夢千代日記は、夢千代日記、続・夢千代日記にくらべ、2倍の長さになっており、そのぶん夢千代以外の人の事も丁寧に語られています。この作品での相手役は松田優作。次第に夢千代に惹かれてゆき、夢千代の体を気遣う、記憶喪失のボクサーを演じ、また同時に*前田純孝も好演しています。夢千代も松田優作扮する記憶喪失の男に哀しい愛を貫き、今までに無く、つよく愛して欲しいと願うようになります。この作品では、いろいろな愛の形が描かれており、中国残留孤児とその背景にある愛情、夢千代の母の若いころの愛・・・。そして特にもうひとつの大きな愛情が、秋吉久美子演じる金魚の愛です。失うものもあまりにも多い、でも愛さずにはいられない、相手役の小坂一也に一途な愛を貫く女の姿が、また哀しくも心に迫ります。特に小坂一也が金魚を背負って冬の荒波に向かうシーンは、忘れられません。
そして最後は、松田優作は、夢千代のために再びリングに・・・、夢千代は一人ラジオでボクシング中継を聞いている、そしてゴングが鳴る・・・。
*前田純孝(すみたか):号を翠渓(すいけい)といい明治十三年四月三日浜坂町諸寄に生まれる 兵庫県御影師範を経て東京高等師範に進み雑誌「明星」で石川啄木とともに名をなす 卒業後大阪夕陽丘高女の教頭となるも、ろうがい(肺結核)におかされて失職 郷地諸寄に帰る。
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